ナベツネ辞任は衝撃的だった。
今まさに合併問題、1リーグ制移行が佳境を迎えている段階であったので、
キーマンである彼が抜けるということは、想像もし得ない出来事だった。
で、即座に頭に浮かんだのが、じゃあ先導役が一人減ったことで、
これからの種々の問題はどういった展開を迎えていくのか?ということだ。
彼はある意味ヒール(悪役)をかって出ていた部分もあったし、
批判はあるものの、やはり実行力やリーダーシップは
他のオーナーやコミッショナー達とは比べられないものを持っていた。
そのナベツネが辞めたことで、実行力や意志力に欠けた残された者達が、
あたふたと迷走し、種々の問題がズルズルと引きずられ、
どっちつかずのまま前に進まないことが懸念される。
また一方で、オーナーは辞任したものの
読売新聞本社の会長と主筆という肩書きはそのままなので、
引き続き影響力を誇示して行くのではないか?という見方もある。
ほとんどの人はこちらを想像したのかもしれないが。。。
ナベツネがいなくなったとしても、おそらく合併問題・1リーグ制移行
の流れは変わることはないだろう、と推測する。
というのも、合併問題はそもそもオリックスと近鉄同士の
経済的理由から端を発したことであり、直接的にはナベツネは関わっていないからだ。
(オリックスの宮内オーナーはナベツネに相談はしているが)
当人同士がこのまま話を続ければ済むことだからである。
そしてもう一つ進んでいる合併問題も、これまた当人同士の問題として話しが進んで行くだろう。
こうなればパリーグは4球団となり、リーグ運営が難しい状態となる。
例えば4球団でペナントレースを行うとすれば、一日にできる試合数は2試合。
これまで通りの運営をしていけば、年間84試合ということになり、
あっという間にペナントレースは終わってしまう。
140という試合数を維持するとなると対戦チーム当たり46試合強にもなってしまい、
これは選手に多大な負担を強いることになるので絶対に無理だ。
こうして試合数が減るということは、選手にとってもオーナーにとっても
デメリットが大きすぎる。
選手は満足な試合数がこなせないし、
何より個人記録の面でセリーグとパリーグに大きな差違が生じてしまう。
オーナーは試合数の減少にともなって観客動員数等が減少し、
経済面でも大きな打撃を受けるだろう。
仮に阪神が提唱するセリーグとの交流試合を実施するにしても、
今度はセリーグの選手達に肉体的な負担を強いることとなってしまう。
4チームによるリーグ運営は、野球界全体にとってもデメリットが大きいと考える。
ではやはりこのまま合併が進んでパ・リーグが4チームになってしまったら、
1リーグ制に移行するしかないのだろうか?
いやちょっと待てよ?
何十年も歴史あるチームが合併によって消滅するしか道はないのか?
その前にまだできることがあるのではないか?
ファンや選手が納得できる施策があるのではないか?と考えた。
それは球団売却という方向性だ。
livedoor(ライブドア)が近鉄買収に名乗りを上げたのに、
何故まともに話もしないまま合併に突き進むのか?
球団を残してくれるのである。
近鉄としてもとても有り難い話だと思うのだが、
ここまで頑なだと不自然さを感じざるをえない。
これまでのプロ野球の歴史を見ても、球団売却は当たり前に行われている。
近年では、阪急ブレーブスをオリックスが買収しオリックスブルーウェーブになったり、
南海ホークスをダイエーが買収し、ダイエーホークスになったりと、
前例はいろいろある。
では何故今回は買収先があるにも関わらず合併に突き進むのか?
パリーグが考えていること。
それはやはり最終目標が1リーグ制ということに他ならない。
新たな買収先に身売りして球団数を維持し、パ・リーグを運営していくにしても、
今まで通りリーグの人気がない状態で続けていくのは、
他のパ・リーグの球団にとっては赤字削減という問題解決にはならないからである。
これを機会に球団数を削減し、1リーグ制という動きにもっていくことで、
人気のあるセリーグと合併することができる。
ドル箱である巨人と試合を行うことができ、
放映権料や観客動員数増加といった売上が期待できるからある。
しかし、いくら球団運営が経済活動とはいえ、これはあまりにも悲しすぎる。
野球は国民的スポーツの一つである。
ファンもたくさんいる。
一つ一つの問題の影響力はとても大きい。
単に経済的理由だけで片付けられる問題ではないということを
オーナー達はもっと自覚してほしい。
livedoor(ライブドア)が近鉄を買収すれば、
名前は変わるかもしれないが球団は存続する。
球団が存続すれば選手は活躍の場を保証され、
ファンも引き続き応援していくことができる。
2リーグ制を堅持するためにも、球団売却を真剣に検討し、
新規参入をもっと積極的に受け入れる方策を考えるべきだ。
名乗りを上げる企業はたくさんあるだろう。
また、閉鎖的なオーナー会議を最高決定機関にするのではなく、
コミッショナーに大きな権限を与えて、
今こそリーダーシップを発揮出来る人物を迎えるべきだろう。
なんのためのコミッショナーなのか?
本来はリーグを束ねる最大権威者のはず。
大リーグにならって、放映権料の一括管理や
ぜいたく税を導入して、設定した年俸上限をオーバーした球団から罰金を徴収し、
そのお金を年俸上限の低かった球団に分配するなど、
赤字削減の改善余地いくらでもあるはずである。
野球界全体が発展していけるシステムを今こそ模索するべきだ。
自分達だけが大丈夫なら他はいい、という考え方を捨て、
これからの野球界の発展のために真剣に取り組んでもらいたい。
今考えないと、この先はない。
ファンの一人としてこれからも注意深く見守っていきたいと思う。